判例紹介┃年俸制の給与と固定残業制

判例紹介┃年俸制の給与と固定残業制

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就業規則の作成、変更のタイミングでよく相談されることの一つに固定残業制(定額残業・みなし残業とも言う)があります。

いまだに「年俸制だから残業代は出ない」「年俸制だから残業代も含んでいる」という考えを持っている人がいますがこれは大きな間違いです。

■固定残業制(定額残業・みなし残業とも言う)とは
あらかじめ定めた一定時間分の時間外労働に対する割増賃金を固定給として定額で支給する制度のことを言います。

■医療法人社団康心会事件(東京高裁平成30年2月22日判決)」
この事件は、年俸制で給与が支払われていた医師が賃金未払いの残業代(時間外労働の割増賃金)の支払いを求めた事案です。

1審と2審では「年報が高額だったこと」などを勘案して一定時間分(1審と2審では60時間分)の割増賃金は年俸に含まれていたと判断されましたが、最高裁でその判断が破棄され、高等裁判所へ差し戻されました。

【事案の概要】
○医師側
未払いの時間外の割増賃金438万1892円の支払い等を求めた

○病院側
時間外労働等に対する割増賃金については、年俸1700万円に含まれる旨の合意がなされていた。

年俸には、割増賃金分も含んでいた。

と主張していました。

【差し戻しによる高等裁判所の判断】
割増賃金の算定方法は、労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまるものと解され、労働者に支払われる基本給や諸手当にあらかじめ含めることにより割増賃金を支払うという方法自体が直ちに同条に反するものではない。

→固定残業制(定額残業・みなし残業とも言う)そのものが違法なわけではない

使用者が労働者に対して割増賃金を支払ったとすることができるか否かを判断するためには、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要である。

→固定残業代が「何時間分の割増賃金」で「具体的にいくらか」が判別できる必要がある

病院と医師との間においては、割増賃金を年俸1700万円に含める旨の本件合意がされていたものの、このうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分は明らかにされていなかった。

そうすると、割増賃金が支払われたということはできない。

裁判所は、以上のように「年俸の中に残業代が含まれているということはできない」として賃金未払い残業があったと判断しました。

この考え方は、これまでの判例を踏襲したものであり、今回初めて出た判断ではありません。

固定残業制(定額残業・みなし残業)を導入・するのであれば、就業規則や雇用契約書を作成し、しっかりと明記するなど正しく理解して運用していく必要があります。

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