事例紹介┃定額残業制を導入する場合の適正時間

事例紹介┃定額残業制を導入する場合の適正時間

20180629

時間外労働の割増賃金(残業代)を一定時間分、月額の固定給に含めて支払う定額残業制ですが、正しく導入し、適切に運用をしないことによるトラブルが後を絶ちません。

*定額残業制
みなし残業制・固定残業制ともいわれますが意味は同じです。

今回は、残業時間としてあらかじめ給与に含む時間が何時間が適正なのかについて言及した事例を見ていきます。

 
┃マーケティングズインフォメーションコミュニティ(割増賃金等請求控訴)事件
東京高裁で平成26年11月26日に判決が出された事件です。

■事件の概要(控訴人:労働者、被控訴人:事業主)
・被控訴人は、ガソリンスタンドの運営、自動車賃貸等を業とする株式会社

・被控訴人の賃金規程
「(1) 基本給、(2) 手当給、(3) 業績給、(4) プロセス評価給、(5) 通勤手当」と規定があった。

さらに「一般従業員の場合には、手当給は、時間外手当、深夜手当、休日出勤手当の総額を見込んだ額とします。」という記載があった。

→この規定により「手当=定額残業」という扱いをしていたことがわかります。

事業主としては、手当ての支払いにより割増賃金(残業代)は支払ったと主張しました。

これに対して労働者側は「割増賃金は支払われていない」として、未払い残業代を請求した、という事件です。

■裁判所の判断
営業手当の内訳として「時間外勤務手当8万2000円」、「休日出勤手当2万5000円」、「深夜勤務手当1万8000円」の記載があった。

この記載に基づけば、この営業手当が、時間外、休日、深夜の割増賃金と考えることもできなくはない。

→就業規則(賃金規程)への記載を見て定額残業制を認めることもできると言っています。

しかし、この労働者の労働時間を考えると
・月の平均所定労働時間が173時間前後
・基本給が月額24~25万円
・営業手当は月17万5000円~18万5000円

ここから、月当たりの時間外労働時間を算出すると「約100時間分の割増賃金」ということになる。

・36協定における労働時間の上限は、月45時間と定められている
→このような点を考慮して、裁判所の判断をまとめると

○賃金規程の記載によって定額残業制を認めることもできる
○36協定では、時間外労働の上限が45時間となっているので100時間では長い
よって、営業手当のすべてを定額残業制として認めることはできない。

 
┃まとめ
裁判所は以上のように営業手当が定額残業代にあたると一部で認めた一方で、そのみなし時間が長すぎる点に注目しました。

個人的には、定額残業制はあまりお勧めしませんが、もし導入を検討する場合には、専門家の指導の元、導入し運用していく必要があります。

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みなし残業(固定残業)制度の考え方

 

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